統合報告書2021年 日本語版(2020年12月期)| ヤマハ発動機
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技術ロスエネルギー価値を追求する「理論値エナジー」 地球温暖化の深刻化を背景に、温室化の要因であるCO2の削減が重要課題となっています。日本政府が2050年にカーボンニュートラルを目指すと宣言する中、脱炭素社会へ向けた企業取り組みへの関心は、過去にないレベルで高まっています。 このような外部環境のもと、当社では「2050年カーボンニュートラル」を目標に掲げ、「事業活動のエネルギーを最小化する」「再生可能エネルギーの導入を増やす」ことに取り組んでいます。 前者の「事業活動のエネルギーを最小化する」ことを実現するため、当社では「理論値エナジー」に取り組んでいます。この「理論値エナジー」では、製品の形質変化にかかわるエネルギーのみを「価値」、それ以外をすべて改善対象とし、生産プロセスのエネルギーを理論値で捉え、真に必要なエネルギーを追求します。「ロスを見る」積み上げ式思考ではなく、「理論値を見る」絶対値思考により、「ありたい姿」を描き、現状と理想のギャップを埋めていく手法です。当社は2013年にこの独自の活動である「理論値エナジー」をスタートし、現在では世界中のグループ会社で実践し大きな成果を上げています。また2019年からはお取引先への展開も始め、これまでに国内4社、海外2社を訪問し、協業でエネルギー最小化に取り組んでいます。お取引先の会社を訪問し、計測器で設備を診断、理論値でロス分析し改善ポテンシャルを可視化した後、計画を作成し1~2年をかけ、協力して改善活動を進めています。CO2削減およびエネルギーコストの削減を通じ、お取引先のモノづくり強化に貢献していく考えです。 これら取り組みの成果によって、ヤマハ発動機グループ全体における2020年CO2排出量は、2010年比原単位で▲41%減となっています。平均すると1年当たり5%であり、これまでと比較し数倍のアウトプットを実現しています。加えてこの活動が進むにつれ、「設備音が減り会話が容易になる」「設備排熱が減り涼しく快適になる」「稼働減により設備メンテナンス周期が延びる」等の相乗効果が表れています。単に省エネだけではなく、職場に喜ばれる、「休憩時無音工場」「快適職場」「長寿命設備」等の付加価値を加え、社員が自発的に参加する、魅力的な省エネ活動を目指しています。 私たちはこの活動を通じて、「究極の省エネ工場」「地球環境保全への貢献」「お取引先のモノづくり強化」「快適で働きやすい生産職場」を実現していきます。価値価値の本質を見極め、 ロスを最小化準価値理論値エナジーの価値定義 現場理論値生産〈モノづくり〉当社製品に付加価値を生み出すクラフトマンシップと、無駄を省いた生産工程の掛け合わせによって、技術と感性が織りなす高品質な製品を生み出しています。また、テクノロジーを活用することでさらなる生産体制の強化を図ります。無価値理論値エナジーを実践しているグループ会社(タイ)形質変化設備 理論効率設備ロス運用ロス最小エナジー技術理論値44競争力を生み出す基盤Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2021

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