統合報告書2021年 日本語版(2020年12月期)| ヤマハ発動機
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研究開発カーボンニュートラルに向けた当社の方向性 各国政府や企業の多くが2030年から2060年を目途に、カーボンニュートラルを実現させる目標を掲げています。しかし、私たちの生活には炭素が非常に深くかかわっており、カーボンフリー化は大変なチャレンジになると予想されます。モビリティのカーボンニュートラルに向けては、HEV、PHEV、BEV、FCV、合成液体燃料など多くの技術的な 手法が検討されていますが、ライフサイクルアセスメントの視点では、生産工程や製品使用過程におけるエネルギー源のクリーン度の影響も大きく簡単ではありません。加えて二輪車などの小型・軽量モビリティでは、搭載性や販売価格の課題が自動車と比べて重くのしかかり、最適解を導き出すのはハードルの高い課題です。現在考えられている技術的手法では、従来の小型モビリティの提供価値を保つことは難しく、だからこそ私たちは、新しい形態、新しい提供価値を持った小型モビリティを生み出す必要があると考えています。 移動そのものの 「楽しさ」は重要価値の一つ モビリティの価値が改めて問われる今、その視点の中心は、例えばCASEに象徴されるように「ラクに移動する」ことに集中しがちです。つまり、より短時間で、自動で、安全に目的地を目指すという価値です。しかし、私たちはパーソナルモビリティの重要な価値の一つに、移動そのものの「楽しさ」があると考えています。もちろん社会課題の解決が最優先事項ですが、明るい日差しと陽気に誘われてふらりと出掛けたくなったとき、その気分に応えられる、環境にやさしい楽しいモビリティを目指したいと考えています。当社の長期ビジョンのキーフレーズは、「人はもっと幸せになれる」です。ヤマハらしく社会課題に取り組みながら、まさに「人がもっと幸せになれるモビリティ」を生み出していきます。 カーボンニュートラルの実現やCASEへの大きなうねり、さらには新規メーカーのEV参入など、モビリティを取り巻く環境は今、「100年に一度の変革期」と言われています。当社ではモビリティにかかわるさまざまな社会課題の解決と変革に向けて研究開発を進めるとともに、つねにヤマハらしく、パーソナルモビリティが本来持つ価値の一つ、「楽しい移動」を実現する技術開発を目指しています。社会課題の解決に向けた研究開発を最優先に、「人がもっと幸せになれるモビリティ」を生み出す 取締役上席執行役員技術・研究本部長丸山 平二新技術開発の方向性全社の事業と技術領域をつなぎ、 新技術とビジネスを生み出し、領域を拡げる。• 各事業間の基盤技術のつなぎ役を担う。• 新たな価値創造へ向けた、新技術とビジネスを生み出す。• 各事業の主軸に沿った成長の周辺領域および、 新規領域に向けて技術とビジネスを拡げる。ランドモビリティ 事業本部マリン 事業本部ソリューション 事業本部成長方向性成長方向性成長方向性38競争力を生み出す基盤Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2021

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