統合報告書2021年 日本語版(2020年12月期)| ヤマハ発動機
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取締役 企画・財務担当メッセージ財務体質の強化を図りながら、 成長戦略を推進し 事業の継続と発展を支えていきます。2020年12月期の総括 2020年上期は、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行に伴う各国のロックダウンにより、全世界で需要が一気に蒸発してしまうような、これまで経験したことのない状況に直面しました。そこで手元流動性を確保するために、緊急対応として必要資金の調達を実施したほか、徹底的な経費削減に取り組みました。それでも上期の営業利益は191億円と大幅な減益となりました。しかし、先進国のロックダウン解除が進んだ下期には、アウトドアレジャーやパーソナルモビリティへの需要が先進国を中心に急回復し、営業利益は626億円となりました。外出が制限される環境の中、「陸上・水上のアウトドアをファミリーで楽しむ」という当社が提供するコアバリューがお客さまのニーズと合致したものと考えています。結果として通期の営業利益は817億円と減益になりましたが、当社のグローバルかつ幅広い事業展開が、ある意味“レジリエンス”につながっていることが証明できたのではないかと評価しています。  一方で、需要の高まりを事前に捉えきれず、生産再開や増産の対応が後手に回ったことは反省点です。未だ十分な供給ができておらず、お客さまのご要望に応えられていない状況が続いています。実績ベースでの需要予測のみでは不十分であることを痛感しました。Alternative DataやBig Dataの活用など、需要予測におけるDXを一層図っていきます。  また、将来の成長に向けた研究開発や投資の面では、選択と集中によりターゲットを絞りながらも、新規分野と基幹事業強化のための開発や投資は継続しました。  以上の結果、フリー・キャッシュ・フローは、在庫の減少と投資の圧縮が寄与し665億円のプラス、またROEは7.5%となりました。取締役 常務執行役員 大川 達実2021年12月期の方針と見通し変異株の拡大による世界的なロックダウンが起きなければという前提とはなりますが、2021年は、先進国のアウトドアレジャーへの需要は堅調に推移し、新興国も回復に向かう見込みです。さらに、半導体関連の需要も高止まりし続ける見通しであり、ランドモビリティ・マリン・ロボティクスの3つのコア事業にとっては追い風を大きく受ける環境になる可能性があります。ポジティブな市場環境・事業環境に加えて、後述するように新型コロナウイルス感染症の流行の中で徹底してきた経費削減の取り組みと在庫のコントロールを“体質化”できれば、会社としてもう一段高いステージに上がることができます。 2021年は、市場回復に伴い危機対応モードから正常モードへと移行していく考えです。「キャッシュ・フローの範囲内で成長投資と株主還元のバランスを取る」という財務戦略の基本方針へ回帰し、既存事業の稼ぐ力を改善し、株主還元とのバランスを取りながら、将来の成長に向けた投資やデジタル基盤の整備に注力していきます。 株主還元について、当社は配当性向としては30%を目安にしていますが、安定的・継続的に配当を行うことを重視しています。2021年は「コロナ禍前の水準に戻す」という意味で年間90円を予定し、株主の皆さまのご期待に応えていきたいと考えています。なお、次期中期計画の策定にあたって、配当性向の見直しを含めて議論を進めており、発表の際に具体的な方針について説明させていただく予定です。30持続的な成長に向けてYamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2021

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