統合報告書2021年 日本語版(2020年12月期)| ヤマハ発動機
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2021年12月期の注力方針まだ予断は許さないものの、2021年はワクチン接種の拡大により世界が新型コロナウイルス感染症流行以前の状況に徐々に戻っていく1年になるとみており、お客さまのもとに商品をお届けすることを最優先に取り組んでいく考えです。ランドモビリティ、マリン、ロボティクスの各事業で増産要求があるものの、供給が追いつかず市場シェアが低下している商品や地域もあります。先進国向けのランドモビリティ事業やマリン事業は、在庫の補充という観点から上期はフル操業を行いますが、下期は市場の動向を見極めながら慎重に稼働状況を調整していきます。また、新興国二輪市場は緩やかな回復が続くと見込んでおり、ロボティクス事業では中国向けの需要が上期の下支えとなりつつ、下期には全業態向けの需要が回復してくるとみています。  この回復基調をベースに、2021年も成長戦略、基盤強化の取り組みを進めながら、既存事業の収益体質の強化・回復を進め、数値計画の達成を目指す考えです。なお、構造改革に関しては、グローバル生産体制の最適化を順次進めており、インド北部の工場集約が完了したほか、台湾工場の集約を2020年に開始しました。2021年については、国内の生産効率と市場追従性の向上を目的とした生産拠点構造改革の一環として、磐田本社工場(静岡県)および周辺工場の生産機能の再配置を決定しており、2025年にかけて140億円の投資と、移設費用など30億円弱の経費計上を見込んでいます。 一方、感染症への対応の中で見えてきた課題についても対策を講じていきます。当社はこれまで、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の観点から、グローバルサプライチェーンの最適化に取り組んできました。その結果、現在ではインドネシアとインドが主なグローバルサプライ基地として機能しています。しかし、この両国でロックダウンが実施されるような状況になると、その影響で世界中の工場が停止してしまうリスクがあります。こうしたことから、グローバル生産体制や物流機能などを再度見直し、サプライチェーンの安定化と強化を進めていかなければならないと考えています。  世界金融危機以降、売上が急減しても耐えられる収益体質に転換すべく損益分岐点経営に取り組んできましたが、2020年はその真価が問われた1年でもありました。この10年間で損益分岐点経営が実践できているところ、できていないところの乖離が浮き彫りとなったことから、再度各社・各部門を分析した上で損益分岐点経営の徹底に取り組んでいきます。  従業員の働き方についても大きく変わりました。リモートワークなど新たな働き方を導入しましたが、改善点も見えてきています。今後も引き続きデジタル活用のレベルを上げつつ、アフターコロナに向けて業務の断捨離や新たな働き方制度の効果的な使い方を議論し、従業員の人生時間の価値向上と企業の生産性向上の両立を模索・実践していきます。 15Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2021

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