統合報告書2021年 日本語版(2020年12月期)| ヤマハ発動機
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社長メッセージ風となり、二輪車やATV/ROV、船外機、ウォータービークルなどの領域で当社製品を初めて購入されるお客さまが増加しました。また、オフロード二輪車、ATVのエントリーモデルの販売が大幅に増加したことや、マリン製品の新規購入者比率が増加したことも特徴的です。これらを受け、新規のお客さまにはまず楽しさを体感・実感していただけるよう、日本・米国・欧州を中心に「bLU cRU(ブルー・クルー)*1」などのサポートプログラムを活発にするなど、当社を選んでくださったお客さまに、生涯を通じてヤマハ製品を安心して楽しんでいただくための取り組みを進めました。  また、欧州・日本では公共交通機関回避の動きからパーソナルモビリティの価値が見直されています。2020年に発売したLMW*2モデル「TRICITY300」は、欧州の一部では四輪免許でも乗ることができ、これまでとは異なる購買層が拡大しています。さらに環境問題に対する意識が高い欧州では、電動アシスト自転車やe-BIKEの需要も急回復しました。 一方、感染症拡大の中で、モノづくりの現場で人間が対応できないことも見えてきました。人手不足対策や3密回避にもつながる協働ロボットのニーズは高まると認識しており、当社でも協働ロボットへの取り組みを加速しています。こうした 事業環境は、当社にとってポジティブなものであるとともに、 ヤマハらしい価値提供でプレゼンスを高める機会であるとも捉えています。 *1 ヤマハモーターサイクルを使用するレースサポートプログラム *2 LMW(Leaning Multi Wheel):モーターサイクルのようにリーン(傾斜)して旋回する三輪以上の車両の当社での総称。商標登録第5646157号 ニーズを取り込み、新たな価値を創出するDXの推進当社では、最新デジタル技術やデータを戦略的に活用するDXを推進しています。人々の外出に制約が生じ、物理的な顧客接点を保つことが難しい状況の中で、顧客ニーズを迅速かつ的確に取り込むにはデジタルの活用が急務であるとの認識のもと、スピードを上げて取り組んでいます。  2020年はインドで二輪車のオンライン販売サイトを開設しました。製品の選択から購入までオンラインで完結し、購入者はサイト上で製品やディーラーなどを選択することができます。納車は自宅へのデリバリーも可能で、外出を避けたい消費者のニーズに対応しています。  また、IoTによる製品の変革も進めています。インドネシアではIoT技術を用いたコネクテッド・コミューター「NMAX」を 発売しました。専用スマートフォンアプリを通じて、お客さま、製品、販売店さまがつながる仕組みを構築しています。利用者の端末からエンジンオイルの状態や燃費の推移を確認でき、万一の故障の際も、その日時や位置を事前に登録した販売店さま等にメール通知するサービスを実現しています。マリン製品においては、IoT技術による船外機操船制御システムを提供しており、データコミュニケーションモジュール(DCM)をボートに搭載することで、品質問題の早期発見やトラブルの未然防止につなげています。  生産現場でもDXに取り組んでいます。稼働設備の監視や生産データの一元管理、また、AIを用いたデータ分析によって従来見えていなかった課題を明確にし、生産性や品質改善で成果を上げています。ASEANを皮切りに今後はグローバル展開を進め、生産現場のデータをグローバルに一元管理することでベストプラクティスを共有し、高品質かつコスト競争力のあるモノづくりを実現していきます。  当社が新たな価値を創出していく一番の根源は、やはり人によるクリエイティビティです。しかし、ゆとりがなければクリエイティビティを十分に発揮することはできません。DXによって生み出された時間的なゆとりを、新たな価値創造のための議論やワークライフバランスの充実に充てることで、各自が クリエイティビティを十二分に発揮することを期待しています。 14持続的な成長に向けてYamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2021

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