統合報告書2021年 日本語版(2020年12月期)| ヤマハ発動機
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変化を恐れずヤマハらしいチャレンジを果敢に続け、 人々の可能性を拡げる新しい価値の 創出を目指します。 2020年12月期の総括 はじめに、このたびの新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々にお悔み申し上げますとともに、感染拡大の影響を受けられたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。また、医療従事者の皆さま、そして社会を支えるために働かれている皆さまに、心から感謝と敬意の念を表します。  中期経営計画(以下、中計)の2年目となる2020年は、当初「『既存事業の収益性強化によりキャッシュ・フローを改善』し、『成長戦略・基盤強化を進める』」という基本方針の2本柱のうち、既存事業の収益性強化に軸足を置き、計画の達成に道筋をつけたいと考えていました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大により経営環境が激変したことを受け、躊躇することなくサバイバルモードへと切り替えました。これは、リーマンショックに端を発する世界金融危機の経験で得た、学びを活かした判断です。同時に、従業員、サプライヤー、お客さまなど、ステークホルダーの皆さまの健康と安全を最優先に各国行政当局の指示・要請に従い、一時休業やリモートワーク等を併用しつつ、グループで連携を図りながら事業の継続に取り組んできました。  このような環境の中、2020年の上期はランドモビリティ事業の二輪車とマリン事業で販売が減少し減収となり、同じく上期に実施した工場操業停止による稼働率低下等に加え、為替の影響を受けたことから営業利益および純利益がともに減益となりました。  その一方で、需要は想定より早い段階で上向きに転じました。下期からは回復基調となり、生産現場は現在フル稼働の体制で適正在庫への回復を進めています。年間を通じては 減収・減益となったものの、経費削減やリスクコントロール、サプライチェーンの平常化などに取り組みながら、困難な環境の中で一定の成果を残すことができたと考えています。  2021年は本中計の最終年度ですが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受け、財務目標数値については取り下げることとしました(2020年8月6日公表)。しかし、成長のための新規事業への取り組みや、収益性改善に向けた事業の構造改革に注力する基本方針に変わりはなく、これらは2020年においても着実に進展したと評価しています。 新型コロナウイルス感染症の流行による事業環境の変化 新型コロナウイルス感染症拡大は、人々の生活様式や価値観にも大きな変化をもたらしています。  私は前述の世界金融危機の経験から、ロックダウン等の規制が緩和された後も、趣味やレジャー領域の回復は最後になる可能性があると考えていました。しかし、今回のケースでは、人の移動や流通は制限されたものの、消費者向けリテールファイナンスの健全性が損なわれることはなく、また、先進国を 中心に政府の支援策や補助金により可処分所得が増えたことなどを背景に、当社製品の購入を検討していたお客さまが購入を取りやめるケースは少なかったと見ています。  先進国のロックダウン解除後には、アウトドアレジャー需要が急増しました。多様なラインナップを展開する当社には追い13Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2021

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