ヤマハ発動機 統合報告書2020
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ガバナンスの目指す方向性 田代 では、今後注力していただきたい点について、お話ししたいと思います。ヤマハ発動機は、二輪車やマリン製品だけではなく、非常に幅広い製品を扱っています。また、世界に100以上の拠点を有するなど、展開する地域も広範囲にわたっており、ガバナンスという観点でいうと、統制するのが難しい企業であるといえます。例えば、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的流行もそうですが、一つの事象に対しても、国や地域が異なれば抱える事情も異なり、それぞれで打つべき施策は変わってきます。そのような中で、経営陣が迅速に情報を把握でき、決めなければならないことを取締役会で迅速に決められるような環境をつくることが重要であると考えています。そのあたりの体制を整えていくことに、今後はより注力していただきたいですね。上釡 同感です。そういった経営に影響を与えるような様々な情報を経営陣まで上げる体制を構築することが、ガバナンスを機能させる一番大きなポイントだと思います。そして、緊急を要する事象であれば、すぐにでも取締役会にかけるべきです。また、そうではなくても、コンプライアンスに関わることなど、将来的に大きな影響を及ぼす可能性が少しでもある事象については、前広に私たち社外取締役にもご報告いただき、取締役会の場で議論すべきでしょう。それにより、影響が大きくなることを未然に防ぐことにもつながります。田代 取締役会での議論の質を高め、適切な判断を行うためには、情報が欠かせません。外部環境が激しく変化すればするほど、世界中から情報を吸い上げてくるコミュニケーションのルート・体制というのが重要になってくると思っています。上釡 田代さんは私と同じく役員人事委員会の委員を務めていますが、その観点ではいかがでしょうか。取締役・執行役員の報酬制度や後継者育成プログラムは、いずれも合理的かつ透明性のある形で整備が進められており、十分評価できる水準にあると私自身は捉えています。田代 そうですね。報酬制度については、成果主義が取り入れられていますし、後継者育成プログラムについては体系的に設計されているほか、私たち社外取締役が執行役員候補者と面接する機会が設けられているなど、外部の視点が入る工夫もされています。ただ、現状の社内取締役には女性や外国人が含まれておらず、執行役員にも多くはありません。その点には課題を感じていますが、候補者の中にはいずれも含まれており、良い方向に進んでいると考えています。海外売上高比率が約9割と事業の大部分を海外が占める中で、外国人の登用は必要な要素ではないでしょうか。また、女性については、時短勤務や保育所の整備など、活躍促進に向けた制度づくりに真剣に取り組んでいらっしゃいます。ただ、仕組みをつくること自体は、企業としての目標ではないことに注意しなくてはなりません。女性が活躍することによって、売上が上がる、経費が抑えられる、新しいアイデアがもたらされるなど、具体的にどのような効果が期待できるのかを意識しなくては、この問題は解決しないと常々思っています。はまだまだ珍しいカルチャーではないでしょうか。既に決まったことを決議するだけの取締役会も世の中には多々ある中で、こういった議論を何度も繰り返していくプロセスがあるのは大変素晴らしいことです。上釡 すぐに決議にもっていくのではなく、次の取締役会で決議する議案について事前に報告していただけるなど、私たちの意見を極力取り入れようという姿勢が伝わってくる取締役会の運営のされ方をしています。その結果として、ヤマハ発動機のガバナンスは着実に良い方向に向けて進んできていると評価しています。田代 先日も社外役員が全員集まり、日髙社長に対して取締役会のあり方を直接提言する場が設けられました。上釡さんは、かなり厳しい発言もされていましたね。上釡 言い過ぎたところもあったかもしれません。しかし、私自身がTDK株式会社の代表取締役社長であったときに、社外取締役の皆さんから厳しいご意見をいただくこともありましたが、自分たちでは気づかないような外部の視点からの提言というのは大変貴重なものでした。だからこそ、これからも躊躇することなく発言していきたいと思っています。田代さんもどんどん忌憚のない意見をぶつけていってくだ さい。55Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2020

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