ヤマハ発動機 統合報告書2020
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ヤマハ発動機流「スマートファクトリー」の取り組み Industry 4.0、IoTやAIの活用など、生産現場を巡るテクノロジーの応用が注目を集めています。当社では「市場・設計・製造における “人・設備・製品”と“情報”のデータを紐付け・一元化し、“理論値”と“実効値”の差異およびそのバラツキをリアルタイムに見える化する仕組み」を「スマートファクトリー」と定義し、構築を進めています。この仕組みにより課題を明確化すると同時にマネジメント手法も効率的に変革し、企業活動全体の改善に貢献します。今後ASEANへの展開も予定しており、日本国内から海外拠点の製造状況を把握することで、マネジメントの効率化もグローバルに展開していきます。具体的事例:ビッグデータ解析による鋳造工程改善鋳造部品は型を用いて加工するため、加工点は目視できません。そのため品質を成熟させる方法としては、シミュレーションやベテラン技術者の経験値に頼る側面が強い工程です。「スマートファクトリー」の取り組みとして、200項目を超える鋳造工程関連データを取得し、品質との相関をビッグデータ解析することで、2019年の1年間で約1億円の不良ロス改善を実現しました。データ解析による品質ロス改善だけでなく、AI画像検査などの自動化技術にも開発着手しており、今後現場での実装を進めていきます。これらを利活用することで、高品質でコスト競争力のあるモノづくりをグローバルに実現していきます。「モノづくりウェイ」をグローバルに浸透させることで、競争力の強化を図る2020年1月に経営機能・事業機能に関わるグローバル活動組織として、「Global Execution Transformation(GET)」が設置されました。私は製造領域におけるGETの共同責任者として、グローバル活動を推進していきます。 具体的には、毎年開催される「モノづくりカンファレンス」を通じてモノづくりの グローバル経営の強化を推進し、当社のモノづくりのあり方(以下、「モノづくりウェイ」)をグローバルに浸透させていきます。「モノづくりカンファレンス」では、当社の「モノづくりウェイ」を共有するだけではなく、製造業としての変革とブランド価値向上にも注力する考えです。さらに日本以外の海外拠点が、より主体的に「モノづくりウェイ」を推進することを目指し、グローバル製造チームを設けることも見据えています。相互に情報や成功事例を共有し、ベストプラクティスを開発することでチームに参加する海外拠点の期待を高め、「モノづくりウェイ」を推進するとともに、今後の改善点を特定することができます。また、グローバル製造チームは、グローバル製造人材を掘り起こし短期間で育成を行う絶好の機会にもなります。 私の目標は、世界中の当社製造工場をリードし業績に貢献しながら、お客様に提供する価値を高め、ヤマハブランド価値を向上させることです。作業者は製造現場の様々なデータを現場内でタイムリーに確認でき、迅速な改善に結び付けることができる。Message from ManagementMichael ChrzanowskiDeputy Executive Officer President, YMMC(アメリカ)43Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2020

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