「理論値生産」と「ヤマハ発動機のクラフトマンシップ~ヤマハの手」の両立 当社は、グループ会社とお取引先で展開している独自の「理論値生産」に取り組んでいます。先に「ありたい姿」を描いてから改善活動を行うことにより、従来の積み上げ式の活動とは異なる発想で、高いアウトプットを実現しています。また、PLやBSと関連付けて活動を行い、経営貢献に結び付けることを目指しています。「理論値生産」は、一般的な生産性の評価指標である「価値稼働時間」の中身をさらに価値・準価値・無価値に分類して、価値を生まない要素を徹底的に分析して最小限にしようとする独自の改善手法です。また、人・設備の生産性だけでなく、モノのリードタイムにも焦点を当てています。全体最適思考で同期生産を進め、短いリードタイムを実現して市場追従性を改善することを目指しています。この活動は2004年に国内でスタートし、世界のグループ会社とお取引先に展開し、大きな成果を上げ続けてきました。 一方で、一見「価値を生む活動」と対極にあるように思える工程、「価値ある非合理」を両立させることで、当社は競争優位性を保っています。これを「ヤマハ発動機のクラフトマンシップ~ヤマハの手」と 呼び、今後生産ブランディング活動を強化していきます。 例えば、標準公差の範囲内ではなくど真ん中を狙うことや、機械では取り切れない表面のザラつきを人の手で触りながら細かくバフかけしてスムーズに仕上げることは、製品の魅力を高めるために加えられるひと手間です。「ヤマハの手」は、モノづくりの現場風土の中で進化・継承されてきました。ハンドリングやデザイン、カラーリング等でお客様に特に高い評価をいただいているヤマハのモーターサイクルですが、モノとして形にできるのは「ヤマハの手」があってこそです。デザイナー、設計者たちから送られてくる図面通りのモノをつくるのではなく、図面以上の仕事をするというDNAがあり、部門をまたいで意見を交わし、つねに改善活動が行われています。ヤマハブランドの感性と、モノづくり現場の伝統、そして一人ひとりのプロフェッショナリズムによって育まれてきた「ヤマハの手」は、ヤマハのモーターサイクルに欠かせない、より軽い車体、より高効率のエンジン、そして美しいデザインを極めていく過程で、大きな付加価値を生んでいます。操縦時間稼働ロス価値稼働時間価値作業時間最速時間本質機能を見極め、それ以外のコト・モノ(ロス)を 削ぎ落とし、継続的に高みを目指し続ける準価値作業時間技術ロス理論値生産チャート現場理論値本質機能技術理論値生産〈モノづくり〉当社製品の付加価値を生み出すクラフトマンシップと、無駄を省いた生産工程の掛け合わせによって、技術と感性が織りなす高品質な製品を生み出しています。また、テクノロジーを活用することでさらなる生産体制の強化を図ります。当社モーターサイクルの フラッグシップモデル「YZF-R1M」のタンク は職人による総バフ 仕上げ。ロングセラーの「SR400」は 二人一組の「セル生産」で全行程を組み上げる。無価値作業時間42競争力を生み出す基盤Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2020
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