労働人口減少を解決する自動走行技術 工場の物流現場は、高まる多品種少量生産のニーズと慢性的な人手不足により、作業員配置を前提とした従来型の設備・運用では、 需要に合わせた効率的な生産体制の維持が難しくなっています。 当社は、株式会社ティアフォーとモノの自動搬送ソリューション事業を行う合弁会社「株式会社eve autonomy」を設立し、この課題に取り組んでいます。当社浜北工場(静岡県浜松市)において自動搬送ソリューションのパイロット製品の共同開発に取り組み、IoT技術を駆使したスマートファクトリー化を目指し、2020年3月から工場内物流ラインでの実運用を開始しています。 自動走行への取り組みは工場内物流にとどまりません。当社は 静岡県磐田市と「磐田市内での低速自動運転技術に関する実証 実験についての連携協定」を締結し、2019年7月より低速自動運転車両を用いた公道実証実験を行っています。「自動運転システムの 機能評価と課題把握」「低速自動運転車の社会実装に向けた、走行環境の検討」を目的としています。成長領域ポートフォリオ当社は、現在および将来の市場・技術・社会環境等の動向を踏まえ、長期ビジョン「ART for Human Possibilities」および中長期成長戦略の中で持続的成長を促す成長領域を設定し、新たな価値創造を推進しています。このため、それを支える知的財産も、それぞれの成長領域に応じて、先進的な「資産」化に取り組んでいます。 知財活動戦略「成長領域ポートフォリオ」の考え方に基づき、当社は「IP for Business」を旗印とし、成長領域と、さらにはその先の潜在的な成長領域を見据えて「知財活動方針の四本柱」を掲げています。 現在はその四本柱に基づき、各事業部門と知財部門とが密にコミュニケーションを取り連携しながら、各取り組みを進めています。ヤマハ発動機の知的財産活動 知財活動方針の四本柱既存事業の商品開発や技術開発に連動した知財創出を主とする従来型の知財活動から一歩先へ。既存技術の先を見る「先取り」と、既存市場の先を見る「領域拡大」の知財活動に取り組む。さらなる「先取り」と「領域拡大」を狙う先進的な領域を、知財ランドスケープ分析から示す。 経営の判断や戦略策定に、市場・技術の成長分析に加え、知財分析の視点から貢献する。 1234これらを通して当社の強みをさらに活かした新技術および新市場領域の探索、事業協業・M&A・技術提携等の検討を知財面からも行い、新たな知財創出にもつなげながら、当社グループのさらなる競争力向上と持続的成長を支えていきます。37Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2020
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