取締役 企画・財務本部長メッセージバランスシートと資本効率をより重視した経営で既存事業の稼ぐ力を取り戻し、成長戦略の具現化を目指します。2019年の総括 当社は「キャッシュ・フローの範囲内で成長投資と株主還元のバランスを取る」ことを財務の基本方針としていますが、2018年末に発表した長期ビジョン「ART for Human Possibilities」の実現に向けて、これまで以上に成長志向のキャピタルアロケーションを意識しています。 現中期経営計画の初年度である2019年においては、新規事業開拓部門だけでなく、既存の各事業部も積極的に新領域の探索に取り組みました。2018年までは確保した成長戦略投資枠を使い切れなかったことと比較すると前進したといえますが、一方で、成長投資の原資となるキャッシュを稼ぐべき既存事業で一部停滞も見られました。 フリー・キャッシュ・フローは、2018年と比較すると厳格な在庫マネジメントの効果もあり、195億円のプラスでした。しかし当初計画していた在庫水準まで下げることはできず、より一層の運転資金マネジメントが必要です。 ROEは11.1%と当初計画比1.2ポイントのマイナスとなりましたが、ROEの構成要素の中でも当期純利益率の未達、つまり稼ぐ力が弱かったことが原因です。中でも本来は高収益であるロボティクス事業とアセアンの二輪車事業の影響が大きく、ロボティクス事業の停滞は市況の悪化が主な要因ですが、アセアンの二輪車事業では一部の地域で競争力の低下やオペレーション力の弱さが課題となりました。取締役 上席執行役員 企画・財務本部長大川 達実2020年の方針 まずはコロナ禍への対応が先決です。事業環境の不確実性に備えるべく、手元流動性を十分に確保します。そのため、2020年の中間配当も見送らせていただきました。各市場の回復を注視するとともに、投資ならびに経費の執行に対しては常時よりも厳しくコントロールしていきます。ただし、アフターコロナに向けて既に顕在化しつつある新しい機会の見極めも怠らず、攻めと守り、両方の姿勢を維持することを基本方針とします。 その上で、2019年からの課題である既存事業での稼ぐ力を強化します。具体的にはアセアンの二輪車事業において営業力・ブランド力強化と、ロジスティクス力の強化に注力し弱点の克服を図り、インドネシアで定着しつつあるプレミアム戦略をアセアン・インド全域で展開します。ロボティクス事業ではヤマハモーターロボティクスホールディングス株式会社の完全子会社化をテコに、グループ一体化構造改革を加速させ、市場の回復に備えます。 成長戦略の遂行について、新規分野ではこれまでの事業探索の 成果を十分に活用して資源投入対象を絞り込み、経営資源の確実な投入とリターンの刈り取りを追求していきます。同時に、既存基幹 事業における成長領域を明確に定義しながら両面展開を図ります。30持続的な成長に向けてYamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2020
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