ヤマハ発動機 統合報告書2020
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気候変動関連の情報開示(TCFDに基づく情報開示) ガバナンス 当社取締役会は、サステナビリティを巡る課題への取り組み方針を定め、その実施状況について定期的にレビューを行います。取締役会はサステナビリティを巡る課題に関して、社長執行役員が議長を務め取締役会が選任した執行役員で構成されるサステナビリティ委員会を監督する役割を担っています。 サステナビリティを巡る課題に関して、特に環境分野を重要な経営課題の一つと位置付け、環境活動を管掌する執行役員を委員長とする環境委員会を設置しています。環境委員会は年3回開催し、環境に関わる方針やビジョンの審議、「環境計画2050」の策定、各事業部の目標に対する実績を毎年レビューし、少なくとも年2回取締役会へ報告しています。 戦略 「環境計画2050」の策定においては、2050年の人口増加・世界的な資源不足・エネルギー不足および2℃目標や1.5℃目標など国際的な温室効果ガス削減シナリオなどが当社に与える事業のリスクと機会を把握・管理し、気候変動への適応策や緩和策を事業戦略に反映しています。 「環境計画2050」では、「低炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現を目指して2025年にマイルストーンを置き、事業を通じて長期目標の達成に向けた環境活動を推進しています。 気候関連リスクと機会 シナリオ分析においては、1.5℃シナリオと2℃シナリオに基づく物理的リスクを想定し、低炭素社会への移行に伴う当社の主な事業リスクと機会を「規制リスク」「情報開示リスク」「技術リスク」「市場リスク」「評判リスク」「顧客リスク」に分類・特定しています。また、短期 (0~3年)・中期(3~6年)・長期(6年以上)で発生する可能性およびその結果として生じる財務的影響の推定規模に基づき、気候関連 リスクの重要性を評価しています。重要な 環境・ 社会課題• 気候変動対策の強化• エネルギー効率の改善• 水資源の有効利用と汚染防止• 廃棄物の削減• クリーン技術や資源利用効率に 配慮した産業プロセスの導入• 持続可能な天然資源の利用• 陸上生態系の保護と回復の促進• 森林減少の阻止• 海洋生態系の保護と回復取り組み 分野低炭素社会Low carbon society循環型社会Recycling loops in society自然共生社会A society in harmony with natureリスク短期各国・地域の二輪車の排ガス規制強化、船舶用エンジンの米国EPA/CARB規制の強化など規制対応のコストが大幅に上昇する。短期~中期新興国など二輪車による深刻な大気汚染から市内走行禁止などの規制が強化される。短期~長期気候変動により、山火事、干ばつ、極端な気温変化、嵐、降雪などの異常気象により製品使用フィールドである海山森などで生態系が破壊される。中期インド・アフリカ諸国などの需要拡大は物流活動のCO2を増加させ、炭素税の導入により物流コストが増加する。長期環境意識の高まりで化石燃料使用製品の販売が減少する。炭素税の導入により製造コストが増加する。長期新興国の経済成長に伴い資源消費が拡大し、資源不足やコストアップなどの調達リスクが高まる。機会短期~中期燃費性能向上モデルの販売が拡大する。新興国において社会的インフラコストがミニマムで低価格な移動手段として二輪車の普及が拡大する。短期軽量・コンパクトを強みに、社会インフラ資源・ コスト最小化の移動手段としてランドカーの普及が拡大する。短期~長期自然環境保護の意識の高まりとともに、自然との 触れ合いを求め大切にするアウトドア関連市場が拡大する。中期二輪車・マリンなどのレンタル事業の普及が拡大する。長期電動モデルの普及が拡大する。長期モノづくりとして小型・軽量で省資源な超小型モビリティが社会インフラに組み込まれる。金融安定理事会(FSB)によって設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に、当社は賛同を表明しています。 当社は2018年12月に「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」(以下、「環境計画2050」)を策定し、「持続可能な社会に積極的に 取り組む企業」としての姿勢、目標、活動計画を打ち出しています。TCFDの提言は、事業活動を通じた地球環境への取り組みと成果を、より積極的に開示していこうとする当社の考え方と合致するものです。気候変動を含む、重要な環境・社会課題のリスクと機会24持続的な成長に向けてYamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2020

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