ヤマハ発動機 統合報告書2020
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計画)に関する各種取り組みは相当レベルが上がってきています。したがって、どこかの地域で何かが発生したときに、 どのような影響を受け、どのように対処すべきなのかということは、かなり迅速に判断できるようになっています。 ただ、今回の新型コロナウイルス感染症の世界的流行の ように、世界で同時並行的に操業停止に追い込まれるといった事態は初めての経験であり、今回の経験を踏まえた対策として、3つの取り組みを進めています。 1つ目がeコマースの活用推進です。人々の外出に制約が 生じ、物理的な顧客接点を保つことが難しくなる中、当社ビジネスにおいてもデジタルな顧客接点を拡げ、リアルな接点との最適な組み合わせを構築していきます。 2つ目が新しい働き方への移行です。工場においては現場での感染防止対策を万全にしながら、いかに生産効率も担保していくかが重要になります。オフィス系社員においてはテレワークで成果が出せるよう人事制度の見直しも必要です。また、新しい働き方が定着すると、通勤時間が省け、隙間時間を有効に使えるようになり、個々の社員の時間価値が高まることにつながると考えています。 3つ目がサプライチェーンの一層の強化です。世界各国で販売される当社製品は、販売国とは異なる国で製造されているものも多く、部品レベルも含めると、ある国で生産活動が止まると、多くの販売国で多大な影響を受ける構造になっています。今回の事態を受けて、グローバルな生産体制や物流機能、各国での適正な製品・部品種別および在庫量等を改めて見直し、サプライチェーンの安定化・強化を進めています。 当社の展開する製品は、趣味やレジャーのものが比較的多く、これから各国政府が徐々に自粛規制を緩和し始め、様々な経済政策を打ったとしても、趣味やレジャーに回るお金は 最後になる可能性があります。一方、アフターコロナにおける身近なアウトドアツールとして需要が喚起されるとの期待もしています。欧米を中心にロックダウン解除後、近場や自然の 中で楽しもうとする動きが実際に出てきており、当社の製品ではリクレーショナルビークルやオフロードバイク、ジェットボート、ウォータービークルなどの需要が回復しています。 また、公共交通機関が発達している地域では、三密回避で 二輪車や「PAS」などのパーソナルモビリティの有用性が再認識されました。エッセンシャルワーカーとして人々の生活を支える 物流業界においても、二輪車がその機動力、渋滞知らずの点で見直されており、今後の新たな需要につながると考えています。 ロボティクス事業については、一時的にはグローバルでの設備投資が低迷する見通しであるものの、中長期的には通信インフラの増強などにより、間違いなく需要は増えていくと 考えています。状況を的確に見極めながら経営の舵取りをすることが必要です。もちろん、当社の方針としては第一に社員・ステークホルダーの人命を最優先として感染拡大を防ぐことであり、その上で事業損失の極小化に努めていく所存です。 なお、2020年12月期の業績見通しについては、現在未定としており、サプライチェーンへの影響や計画・業績への影響は 精査中ですが、可能な限り速やかに開示する方針です。 この1年は特にチャレンジの年になると覚悟しています。 つねに緊張感を持ちつつ冷静に市況を見極め、粘り強く本中計の達成に向けて邁進していきます。社長メッセージ冷静に市況を見極め、 目標の達成に 向け邁進します。14持続的な成長に向けてYamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2020

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