YAMAHA INTEGRATED REPORT 2018
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ヤマハ発動機の社外取締役として果たす役割について上釜 私はモノづくり企業での技術・製造の経験が長く、社長経験も10年、海外経験も18年、そういった経験から経営に対するアドバイスを行う役割を果たしていきたいと考えています。モノづくりは、興味があって楽しくないとできない仕事です。ヤマハ発動機は性能や機能を追求する優秀なエンジニアが集結した、モノづくり意識の高い会社だと感じています。玉塚 製造業はプロダクトアウト的な発想に陥ることも多いことから、アパレル製造小売業やコンビニエンスストアなど消費者に近い領域に携わってきた私に対しては、マーケット起点の提案が期待されていると考えています。また私自身、スタートアップ企業への関わりも多いことから、今後、ヤマハ発動機がイノベーションを起こしていくときに、スタートアップやベンチャーの視点からもアドバイスができると考えています。2030年に向けた長期ビジョンに対して上釜 長期ビジョンについて最初に説明を受けたときには、社外取締役から活発な意見が出されました。私からは、EV化やシェアリングの推進を前面に出したり、AIをキーワードに入れたりすることで、具体性を持たせた方がいいとアドバイスしました。玉塚 私も上釜さんも経営者なので、抽象的な話ではピンと来ないのです。市場がこのように変化し、こんな人たちに感動を届け、こんな事業体になるといった物語があると腹落ちしやすいと思います。ヤマハ発動機には製造ノウハウ、品質管理、ブランド価値など、多くの強みがあります。EVやシェアリングなど、これまでにない変化が起きている中で、市場の期待がどのように変化するかを見極め、重点領域に集中投資を行い、市場に評価される商品を作りながら、ヤマハ発動機自身がスピード感を持ってトランスフォームしていく必要があります。「環境・資源」、「交通・教育・産業」、「イノベーション」、「働き方」、ヤマハ発動機が 取り組むべき4つの社会課題を特定したことについて上釜 多くの企業が社会課題に取り組んでいますが、私は、当社の場合はまだまだ可能性があると思います。また、社会課題と事業戦略を紐付けていく必要もあります。まず、経営理念を起点として、この社会課題を選定した、従ってこういう製品を開発し世の中に提案していく、それによってどういった効果が期待できるというストーリーが描けて初めて経営戦略になるのです。玉塚 事業を通じて社会課題を解決する企業への評価が高まっています。当社の場合は、Revs your Heartで感動を与えるだけでなく、創意工夫をすることで、高齢化社会、人手不足、気候変動といった社会課題に貢献していくことができます。さらに社会課題の解決に向けて、何をいつまでに、どれだけのリソースを投入してやりきる、といったコミットメントが求められている時期だと思います。現在は、スタートアップ企業が新しい市場を独占するような時代ですから、スピード感のある取り組みは重要です。上釜 ESGを推進するには、トップダウンで全世界、全従業員に浸透させていく必要があります。これは結構大変なことです。57Yamaha Motor Co., Ltd. Integrated Report 2018

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