技報No.3 eBook | ヤマハ発動機
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巻 頭 言事です。思います。沢山あります。化されます。                                  ヤマハ技術会顧問                                   江口秀人 会員の皆様,明けましておめでとうございます。年頭にあたり,一言所感を申し述べてみたいと 現在,世界を蔽っている何とも云えない不安定感の中にあって,我社の今後進むべき途を見定め,価値のある仕事,やり甲斐のある仕事に適進する事が,今最も重要な課題であります。 人間は,常に考え,行動するわけですが,現在,特徴的に顕われている現象,例えば,日本だけに集中し過ぎた貿易黒字から来る急激な円高,株の暴騰東京を中心とした不動産価格の狂気じみた高騰,そして一方で予想される輸出型企業の大巾な減益,破綻,産業の空洞化・倒産・失業等,正に不安定を絵に描いた様な状況です。 これらは,すべて人災以外の何物でもありません。 ここまで来ると,「創造的破壊」なくしては,新しい秩序が生み出せない段階に来ていると思います。 我社が三年前に再建に取組み,本質的にやらねばならない事を見据えて,社を挙げて体質改善に挑戦して来た事は,今になって考えれば,まことに不幸中の幸でした。 今こそ,我社の特質である,創意・高品質・スピードの威力を発揮し,混乱の世を力強く生き抜かなければなりません。 そのエネルギーの源泉は,云うまでもなく技術力です。 今後は最終製品の質に片寄り過ぎた品質論議でなく,それを作り上げる夫々の部分の技術・品質を掘り下げて充実して行かなければなりません。その目で見れば,まだまだ手掛けるべき仕事が 自らの手で,自らの技術でもっと附加価値を生み出せる項目がある筈です。 外部に依存している材料や部品の品質の中にも,自分で採り上げなければ究極的には満足すべき結果が得られないものもあると思います。 「働かざる者,喰うべからず」の時代は過ぎ、「創らざる者,喰うべからず」の時代です。特に日本は,昔から云われている様に,天然資源に乏しく,加工立国でなければならないとされて来ました。然し,近時,人間という天然資源には,質・量共に極めて恵まれているという見方に変って来ています。そういう評価に値するかどうかは,我々一人一人の責任です。 開発された技術に基づいて,生産を行う場所については,ますます国際化が進みます。 御存知の様に,フランスにもアメリカにも工場が出来ます。単なる技術援助だけでなく,資本進出もふえて行きます。商品の巾も広がって行きます。品質保証の中味も,ますます細部化され高度 日本人としての常識や経験だけでは,とても律し切れません。 活眼を以って物事を視,心を闊いて情報を受けとめて下さい。 ヤマハ技術会を通じて,皆さんの交流が活発になり,相互研鐙の実が挙がるのは何よりも心強い 御活躍を祈ります。

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