「試行錯誤の時代」
東京タワーの開業や新幹線の開通、さらにはオリンピックの日本初開催と、国内では経済成長への機運が加速して経済白書には「もはや戦後ではない」と記された。アメリカでは未来志向のコンセプトカーのイメージが市販車に反映され、ドイツでは論理的なアプローチによるスポーツカーが誕生した。この時代、日本のデザイン界は「コンパクト」「シンプル」「モダン」を共通テーマに掲げ、ドイツ機能主義とアメリカ商業主義を研究するとともに、機能表現と情緒性の両面を感じさせるデザイン表現に挑戦した。
「自分がぜいたくだと思ったもの、自分が楽しいと思ったものは
自分だけで独占しないで人に分け与えよう。
デザインもそうだろう。美しいと思ったものを自分だけで独占するのは、
君、デザイナーとは言わないよ。
それを人に分け与えて初めてデザインと言うんじゃないだろうかね」
川上 源一
※創業者・川上源一記念展(2002年)に寄せられた、栄久庵憲司氏(GKデザイングループ代表・当時)の回想より。